商号:キオクシア株式会社
- 2026年7月9日、ベインがキオクシアの全保有株式を売却と報道
キオクシア
- プライム市場
- 記憶とAXIA(価値)の造語
- 2017年に東芝から分社化
- NAND型フラッシュメモリーが主力商品。NAND型フラッシュメモリはSSDに組み込まれ、パソコン・スマホ、データセンターのサーバーに使われる。
- 1987年に世界初のNAND型フラッシュメモリを発明(特許取得)、現在も世界で有数のフラッシュメモリ開発、製造を行う企業
- 四日市と岩手県の北上に工場
- 関連会社:キオクシアシステムズ株式会社、キオクシアエンジニアリング株式会社(旧・中部東芝エンジニアリング株式会社)、キオクシア岩手株式会社、キオクシアエトワール株式会社
- NAND型フラッシュメモリー市場 第1位:サムスン電子(30%) 第2位:SKハイニックス(20%) 第3位:キオクシア(17%) 第4位:マイクロン(12%) 第5位:サンディスク(10%) 第6位:YMTC(7%)
- 中国のYMTCが25年第2四半期で売上2520億円とシェアを伸ばしている。
NAND型フラッシュメモリとは?
1987年に東芝が開発したメモリセルを直列に配置した構造のメモリのこと。メモリセルを高密度に配置できる特徴を持つ。
なぜ開発したのに独占ではないのか?
NAND型フラッシュメモリは、サムスン電子やSKハイニックス、マイクロンなども製造している。東芝が開発したのにも関わらず、独占ではないのはなぜか?
それは、他社と共通の規格を使えるよう、標準化に協力したため。ただし、特許を取得しているので2007年までの20年間はライセンス料を受け取っている。特許は20年で切れるため、現在はライセンス料は発生していない。
キオクシアの優位性
垂直積層型NAND技術により世界で初めて3次元フラッシュメモリを開発。従来品よりも大容量でビットあたりのコストを削減できる。
現行の第8世代は218層の1T(テラ)ビット品。読み書き速度・信頼性・耐久性で世界トップクラス。特にSSDは強くて信頼性高く、データセンター向け。
将来的には2030年をめどに、積層数が1000層のメモリの量産を目指す。
NAND型フラッシュメモリ市場では、Samsung、SK hynix、キオクシア、Micronが長年主要メーカーとして競争してきた。しかし近年は中国のYMTC(長江存儲科技)が急速に台頭しており、競争環境は大きく変化している。
では、キオクシアのNANDメモリにはどのような優位性があり、SK hynixや中国メーカーと比較してどのような立ち位置にあるのだろうか。
キオクシア最大の強みは低コスト生産
キオクシア最大の強みは、業界トップクラスの低コスト生産能力である。
NAND市場では性能だけではなく、1ビットあたりの製造コスト(ビットコスト)が利益率を大きく左右する。価格競争が激しいため、コストを抑えられるメーカーほど市況悪化時にも利益を確保しやすい。
キオクシアは積層数だけを追求するのではなく、歩留まりや生産効率を重視した開発を行っている点が特徴である。
CBA技術による性能・電力効率向上
キオクシアは「CBA(CMOS directly Bonded to Array)」と呼ばれる技術を採用している。
これはメモリセルとCMOS回路を別々に製造し、最後に接合する構造である。
CBAによって以下のメリットが期待できる。
- 高速化
- 消費電力低減
- 高密度化
- 製造効率向上
- ビットコスト低減
キオクシアは積層数競争だけに依存せず、CBAを活用して性能とコストの両立を目指している。
SK hynixとの比較
SK hynixはHBM、DRAM、NANDの3つを持つ総合メモリメーカーである。
一方、キオクシアはNAND専業メーカーであり、事業構造が大きく異なる。
企業全体として見ると、AI需要によってHBMが急成長しているSK hynixの方が利益率や収益力では有利である。
しかし、NAND事業単体で見ると、キオクシアの競争力は非常に高い。
| 項目 | キオクシア | SK hynix |
|---|---|---|
| NAND技術 | 非常に高い | 非常に高い |
| 製造コスト | 世界トップクラス | 低コスト |
| AI向けSSD | 強い | 非常に強い |
| HBM | なし | 世界トップクラス |
| DRAM | なし | 世界2位級 |
| AIブームの恩恵 | SSD需要中心 | HBM・DRAM・SSDすべて |
AI市場全体ではSK hynixが有利だが、NAND専業メーカーとして見ればキオクシアは世界トップクラスの一角といえる。
中国YMTCはすでに脅威となっている
現在、最も警戒されている中国メーカーがYMTC(長江存儲科技)である。
YMTCは政府支援を背景に急速に生産能力を拡大している。
さらに価格競争力も高く、同等品を既存メーカーより安価に販売できることが強みとなっている。
技術面でも独自の「Xtacking」を採用しており、メモリセルとCMOS回路を分離して接合する構造は、キオクシアのCBAと近い考え方である。
そのため、YMTCは単なる低価格メーカーではなく、技術的にも世界トップメーカーとの差を縮めつつある。
本当の脅威は価格破壊
NAND市場で最も重要なのは技術力だけではない。
供給量が需要を上回ると価格が大幅に下落し、業界全体の利益率が低下する。
仮にYMTCが大規模な増産を続ければ、
- キオクシア
- Samsung
- SK hynix
- Micron
すべてのメーカーが価格下落の影響を受ける可能性がある。
NAND市場では技術競争以上に需給バランスが重要であり、中国メーカーの生産能力拡大は今後も注視すべきポイントとなる。
まとめ
キオクシアの最大の強みは、CBA技術による性能向上と世界トップクラスの低コスト生産能力である。
AIブームによる恩恵ではHBMを持つSK hynixが優位だが、NAND市場に限定すればキオクシアは依然として高い競争力を持っている。
一方で、中国YMTCはすでに主要プレイヤーとなっており、今後は技術力よりも生産能力拡大による価格競争がNAND市場最大のリスクとなる可能性が高い。
そのため、キオクシアを分析する上では、NAND価格、需給バランス、そしてYMTCの生産能力拡大を継続的に監視することが重要である。
285A キオクシア 業績
決算期
3月
売上・営業利益・経常利益
| 売上 | 営業利益 | 経常利益 | |
| 2026年3月 | 2兆3376億円 | 8703億円 | 7840億円 |
| 2025年3月 | 1兆7064億円 | 4517億円 | 3706億円 |
| 2024年3月 | 1兆765億円 | △2526億円 | △3433億円 |
| 2023年3月 | 1兆2821億円 | △990億円 | △1864億円 |
| 2022年3月 | 1兆5264億円 | 2162億円 | 2162億円 |

