5711 三菱マテリアル

個別銘柄プライム市場

5711 三菱マテリアル 個別株解説

  • プライム市場
  • 三菱グループ非鉄金属大手
  • 非鉄金属業界売上高第2位(1位:住友電気工業 3位:住友金属鉱山 4位:古河電気工業 5位:UACJ 6位:フジクラ 7位:DOWAHD 8位:三井金属鉱業 9位:日本軽金属HD 10位:AREHD)
  • 銅製錬、セメント製造、金属加工(自動車・エレクトロニクス部品の製造等)、アルミ缶製造
  • 金属事業:都市鉱山系の廃電子基板などのスクラップや、廃棄された家電・自動車などから金、銀、錫、鉛、ビスマスなどの金属資源を回収
  • 銅加工事業:銅製錬で製造した素材を原料に、自動車向け端子材やエアコン用銅管、半導体リードフレームなど様々な形状への製品加工
  • 電子材料事業:パソコン、スマートフォン、自動車、家電などのエレクトロニクス系の部品を製造
  • 100%子会社に、史跡佐渡金山の管理・運営、旧佐渡鉱山の管理を行う株式会社ゴールデン佐渡

三菱マテリアルの強み

  • 長年に及ぶ金属製錬事業、セメント事業、環境リサイクル事業で蓄積したリサイクル技術、廃棄物収集ネットワークにより先進的なリサイクル事業が可能
  • 基礎素材の、原料・資源の安定調達から製造までの一貫した製造体制を確立
  • 無酸素銅・銅合金(銅加工)、異種材料結合(電材)、超硬原料、コーテイングなどの高い素材開発力や製造技術力

決算

3月

5711 三菱マテリアル 売上・営業利益・経常利益・前年比増減率

2025年3月期第1四半期

売上:5,137億円(+41.6%)  

営業利益:232億円(+237.9%) 

経常利益:186億円(+166.8%)

2024年3月期

売上:1兆5,406億円(△5.2%)

営業利益:128億円(△53.5%) 

経常利益:541億円(+113.8%)

2024 年 3 月期決算説明会 質疑応答議事録

[Q]:24 年 3 月期の金属事業の営業利益が、前回公表予想に対して減益となった背景を教えていた
だきたい。

営業利益は、小名浜製錬所での操業トラブルがあった影響と、硫酸価格とパラジウム価格
が、想定よりも下振れてしまったというところが大きいです。
また、PT スメルティングから輸入している貴金属スライムが、インドネシア政府の許可の問題が
あって、一時期停止しておりました。
操業トラブルとスライムの入荷停止による影響に関連して、実収効率が想定を下回ったところが大
きいです。

[Q]:銅加工事業で、新年度は相当に利益が増える予想になっており、主に数量要因だと思うが、市場環境をどのように想定し、それに対して御社はどのようなパフォーマンスになるのかを教えていただきたい。

ご認識の通り、基本的には数量が回復する部分が多いです。
自動車関連の需要については、2Q 以降で回復してくると見ています。電子材料事業も下期からは
上昇してくるのではないかなと見ています。
電子材料事業も含めた高機能製品カンパニーの見方としては、この下期で、中経で想定していた販
売量に近い水準に戻ってくるのではないかと予想しています。

[Q]:営業利益の 25 年 3 月期予想について教えてほしい。銅加工事業は、歴史的に振り返ってセグメントの利益を見ても、世界の景気が良かった 2018 年などで 100 億円以上であり、この利益予想には届かないのではないかと感じている。
加工事業に関しても、利益予想を達成するためには 40 億円台ぐらいの利益が各四半期で出てこなければいけない。
過去に、計画している利益と同程度の利益であった年度は経済環境がよかったことを考慮すると、達成は難しいと感じている。達成の確度、上期・下期の利益変動を含めて教えてほしい。

2023 年度の実績、特に 4Q の数字を踏まえると計画の達成が厳しいと見られるのはよくわ
かります。
OEM メーカーの決算では、足元は好調に推移しておりますので、これにより滞留していた中間在
庫が減少してくれば、当社販売も段階的に上がってくるという見方をしています。これに加えて、コスト競争力強化などやるべきことをやれば、届かない数字ではないと考えています。
加工事業は、特に国内マーケットを注力して、販売のドライブをかけていきたいと思っています。

[Q]:営業外損益は、逆に保守的ではないかと感じている。銅価が足許で上昇しているため、利益予想の前提としている400セントを超えている場合、ロスペランブレス銅鉱山の配当金に変動はあるのか。
また、マントベルデとカッパーマウンテンの持分法損益の改善を見込んでいる背景と UBE 三菱セメント社の持分法損益が保守的な印象もあるので、説明出来る範囲で解説いただきたい。

銅価の上振れは真水で効いてきますので、そこはプラスになってくると考えています。
マントベルデは、5 月からコマーシャルオペレーションをスタートしようとしています。これが立
ち上がってきますと利益に効いてきます。
カッパーマウンテンは、中⾧期的な操業の最適化を進めており、その効果が徐々に出てくると考え
ています。
昨年度は評価損を計上していましたが、今年度はそのような予定はないため、これもプラスに効い
てきます。
UBE 三菱セメント社については、国内セメント消費量を 3,500 万トン台と見ています。建設業で
の 36 協定の特別条項の解除もあり、ここから増える見込みは厳しいと思っています。
当社グループ内に、三菱マテリアルテクノというエンジニアリング会社がありますが、受注を全て
受けないようにする対応をとっています。これらを勘案すると国内は簡単に良くならないと思って
います。
海外は、ある程度のコストアップを見ざるを得ないところがあります。それを保守的と見るかどう
かは、意見が分かれるところだと思います。
その他の海外事業は、豪州の石炭事業で価格でのマイナスを見ています。これは保守的ではないと思っています。

[Q]:金属事業の営業利益が、前回公表予想からおそらく 60 億円ほど未達であったと思うが下振
れの要因と、銅製錬の実収効率が悪くなった背景、今年度以降に尾を引かないのかを教えてほし
い。
2点目が、今年度の利益の計画が仮に下回った場合に、配当についてはどうするのかを確認した
い。

濃硫酸価格差で 10 億円、パラジウム価格差で 3 億円、数量差で 10 億円、そしてその他差
のところで、実収効率の下振れで 60 億円が数字の内訳になります。
実収効率が悪くなった背景には、特に金のところについては PT スメルティングからスライムが安
定して入ってこなかったことが、大きいと思っています。
これは、すでに解消していますので、今年度に与える影響は薄いと考えております。

[Q]:今年度の業績が計画を下回った場合、配当はどうするのか。考え方を教えて頂きたい。

株主還元の方針は、配当性向 30%を目処としています。若干のアローアンスは見ています
が、何か特殊な要因で業績が大きく下振れするようなことがない限りは、方針を守っていきたいと
考えています。
基本的には、期初の利益計画を守り、それに応じた配当を株主の皆様にお出しすることが、一番良
いシナリオだと思っています。

[Q]:PT スメルティングが持分法適用会社になったあと、貴金属スライムの輸入は継続できるのか。今後の投資負担は持分相当なのかなど、この持分変動による変化を PL の計上の仕方だけではなくて、実際のビジネス上どう変わるかをもう一度確認したい。
あわせて、E-Scrap の効果について、中経で取り組んでいる中、どのような影響があったのかを解説いただきたい。

PT スメルティングは持分法適用会社になりましても、今のインドネシア国内では貴金属
製錬ができませんので、これまでの PT フリーポートとのパートナーシップをベースにして貴金属
スライムの輸入は継続されます。
投資負担については、銅精鉱処理の拡張をしましたので、当面は大きな投資はないと考えます。一
方で、PT フリーポートは、インドネシア国内に新たな銅製錬所を建設しています。今後は、そち
らへの投資に注力するのではないかと思っています。
そうなりますと、当社が持分相当を負担する投資は起きないと思っています。
E-Scrap の集荷量は、昨年度、今年度ともに現在処理できる最大量を集荷しようとしています。どのような設備を入れて、E-Scrap の処理量を増やしていくかについては、最終的な検討段階に入っています。
Phase1の最終年、もしくはその Phase1の翌年ぐらいから効果が出てくると考えています。

[Q]:加工事業は、過去、四半期ごとの業績推移は、必ずしもボトムを打って伸びてないが、25 年
3 月期は、数量の増が主な増益要因としている。
自動車市場も、必ずしも右上がりでないと思うため、在庫調整の進捗と数量増計画の背景、確信度
について解説いただきたい。

当社が分析している限りでは、日本での販売量が弱いと思っています。ここはシェアを取
っていくような活動をしていこうと思っています。
当社の超硬製品がどれだけ自動車需要に使われているのかを把握することは、難しいところがあり
ます。
滞留していた中間在庫が、今年の前半もしくは第 1 四半期に解消して、徐々に販売が増えていくと
考えています。
全世界で見ると、10%から 15%程度の増販を見ています。日本はほぼオンラインで、アジア地区で
増販をかけていく見通しです。

[Q]:金属事業と加工事業での昨年度から今年度にかけての増減益分析のその他差が数字的に大き
いので、内訳を教えていただきたい。

金属事業は、PT スメルティングの持分法化により営業利益が減少する影響 40 億円が営業
利益の中では一番大きいマイナスになっています。営業外損益は、為替差益の減少が入っていま
す。
加工事業は、2023 年度に増加した在庫の解消に伴って、在庫調整にかかるコストの増加 25 億円程
度に加え、労務費の増加 15 億円程度、営業外損益では、為替差益の減少と金融収支で 15 億円程
度のマイナスがあります。

[Q]:中経 Phase1 で計画している成⾧投資 2,300 億円に関して、電子材料事業での投資見直しと
いう話もあったが、どのように変わるのか。これまでの投資のレビュー、効果の刈り取りに関して
教えていただきたい。

成⾧投資自体は、この Phase1 で 2,300 億円を見ています。
昨年度実績と今年度見込みでは、500 億円から 600 億円程度となっており、2,300 億円に対しては
1,000 億円強のマイナスになっています。残りが 2025 年度に達するというバランスになっていま
す。しかしながら、鉱山投資において、交渉の経過が少し後ろにずれてるということがあります。
その他の銅加工事業、電子材料事業、そして加工事業については、おおむね想定していた投資を行
う予定です。電子材料事業のシリコン精密品など、販売環境が大幅に変わっているものに関して
は、投資をその他の製品に振り替えることを考えています。
金属事業は、足元、TC/RC が非常に悪くなっています。副産物の硫酸価格もなかなか上がってこな
いという状況です。当初は、鉱石の生産量を上げて E-Scrap も処理するということを想定してい
ましたが、このまま鉱石の処理量を上げていいのかという議論を行っております。金属事業でどの
ような投資を行うか、E-Scrap を増処理するという基本方針は変わりませんが、方法論から含めて
検討している状況です。
したがいまして、全体として Phase1 のキャッシュイン自体は減ってくるところはありますけれ
ど、必要な施策を打つための成⾧投資は着実に行っていくということを考えています。

[Q]:TC/RC は、中国のスポットなんかはマイナスになるほど悪くなっているというのはわかって
いるが、日本の製錬会社に関しては、ブリック方式で 2 年間の平均を取っているため、現在の環境
がものすごく悪くなっているというところはあまり認識していなかった。そういった現在の環境を
鑑みても、方法論まで考えなければいけないようなことになっているか。
E-Scrap の増処理をしていくところが、御社の成⾧ストーリー、循環ビジネスの骨子だと思ったの
で、そこが変わってくると、かなりストーリーが違うと考え、このような質問をしている。

今年度については、鉱石の調達契約は固まっていますので、足元のスポットの悪い状況
は、ほとんど影響を受けておりません。
ただし、この状況がいつまで続くか、回復したとしても TC/RC のスポットのマーケットは、かな
りローレベルではないかということも想定できるため、一度に鉱石処理量を上げるような投資を決
めてしまうと、後戻りできなくなってしまいます。そのためいろいろと方策を考えないといけない
ということです。
E-Scrap の処理量の増処理を諦めるということではなく、何か良い方策がないかを考えているとい
うことです。

[Q]:UBE 三菱セメント社について、足許の一般炭の市況が、会社計画より下振れているが、仮に
下振れが起きた場合は業績に何か影響があるのか。

UBE 三菱セメント社では、熱カロリーは低い、安い石炭を使って操業していますので、こ
この一般炭の下振れは、直接は業績に影響してこないと考えています。

[Q]:再生可能エネルギー事業の利益が、今期は跳ねているが、何か大きな案件が入っているの
か、それともオーガニックな成⾧に基づくものなのか教えていただきたい。

今年度から安比地熱発電所の営業運転が開始されました。そこの利益が一挙に乗ってきて
いるため、跳ねて見えているということになります。

5711 三菱マテリアル Youtube 動画解説

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