7203 トヨタ自動車 解説
金融事業が利益の約4分の1を占める
金融事業の営業利益は8517億円となった。
営業利益全体の約23%を占める。
トヨタの利益は自動車販売だけで構成されているわけではない。
自動車ローンやリース契約が増加すると、
- 金利収入
- 手数料収入
- リース収入
が積み上がる。
販売台数が横ばいとなった場合でも、金融事業の拡大によって利益を維持できる。
ハイブリッド需要
トヨタの販売台数と利益を支えているのはHEVである。
EV需要の鈍化が続けばHEV比率が高いトヨタに有利となる可能性がある。
一方でEVシフトが再加速した場合はBEV投資負担が増加する可能性がある。
ソフトウェア収益
今後は車両販売後の収益拡大が課題となる。
コネクテッドサービスやソフトウェア課金が拡大した場合、利益率改善要因となる可能性がある。
全個体電池
全個体電池とは?
今のリチウムイオン電池の中に入っている液体を、燃えにくい固体に置き換えた次世代電池。
今の電池との違い
現在のEVの多くはリチウムイオン電池を使っている。
構造は、正極(プラス)、負極(マイナス)、電解液(電気を運ぶ液体)でできており、電解液は可燃性なので、
- 発火リスク
- 急速充電に限界がある
- エネルギー密度に限界がある
といった弱点がある。
そこでトヨタは、液体の電解液 → 固体の電解質に置き換えようとしている。
何がすごいのか?
航続距離が伸びる
現在のEVでは500~700km程度の航続距離が、全固体電池が実用化されると1,000km以上に延ばすことが可能になる。
充電が速い
トヨタが過去に公表した目標では、10分程度で80%充電を目指しており、現在のEVの弱点である「充電待ち」が大きく改善される。
安全性が高い
液体の電解液がないため、発火しにくい・熱暴走しにくいというメリットがある。
普及していない理由
全固体電池は作るのが非常に難しく、製造コストが高い、劣化しやすい、充放電を繰り返すとひび割れる、大量生産が難しいなどの問題がある。
「できたか」が問題ではなく、「採算が取れる量産ができるか」が一番の課題。
出光興産との協業で、2027〜2028年頃の実用化・市場投入を目指している。
トヨタ株価下落の懸念点
直近のトヨタ株下落は、業績悪化そのものというよりも、「今後1〜2年の利益予想が切り下がったこと」が大きい。
① 米国関税による利益減少
2027年3月期の会社予想営業利益は3兆円。
前期実績の3兆7662億円から約20%減益予想となっている。
会社は米国関税の影響を約1.45兆円と見積もっている。市場は「トヨタなら吸収できる」と考えていた部分もあったが、会社側が大幅な利益圧迫を示したことで株価が売られた。
② 市場予想より弱い利益見通し
2027年3月期の営業利益予想3兆円は、アナリスト予想平均を大きく下回った。
決算発表直後に株価が下落した最大の理由はここである。
投資家は過去の円安効果やハイブリッド好調を考慮し、もっと高い利益水準を予想していた。
③ 北米依存への懸念
トヨタの利益源は北米である。
販売台数は好調でも、
- 関税
- 労務費上昇
- 原材料費上昇
が続くと利益率が低下する。
市場は「販売は好調だが利益が伸びない状態」を警戒している。
④ 中国EVメーカーとの競争
中国市場の販売台数は維持しているが、
- BYD
- 吉利汽車
- 小米汽車
などとの競争が続いている。
現時点で中国事業が崩れているわけではないが、市場は長期的な利益率低下リスクを織り込んでいる。
⑤ トヨタに対する期待値が高すぎた
実はトヨタの業績そのものはそこまで悪くない。
- 売上高50.7兆円
- 営業利益3.8兆円
- 純利益3.8兆円
であり、日本企業としては依然として最大級の利益を稼いでいる。
しかし株価は業績ではなく「将来」を織り込む。
市場は2026年初めまで、
- 円安
- ハイブリッド好調
- 関税緩和
を期待していた。
ところが会社予想では、
- 関税継続
- 利益減少
が示されたため、期待の修正が起きた。
財務体質
2026年3月期末の自己資本は約36兆円規模となっている。
また営業キャッシュフローは継続して高水準を維持している。
設備投資や研究開発投資を継続しながら、配当・自社株買いを実施できる資金余力がある。
業績
決算期
3月
売上・営業利益・経常利益
| 売上 | 営業利益 | 経常利益 | |
| 2026年3月 | 50兆6849億円 | 3兆7762億円 | 5兆1529億円 |
| 2025年3月 | 48兆367億円 | 4兆7955億円 | 6兆4145億円 |
| 2024年3月 | 45兆953億円 | 5兆3529億円 | 6兆9650億円 |
| 2023年3月 | 37兆1542億円 | 2兆7250億円 | 3兆6687億円 |
営業利益より経常利益が多い理由
営業利益以外の持分法による関連会社からの投資利益、受取配当金、ローンやリースによる金融事業の収入などのため。
2026年3月期決算について
米国関税だけで約1.38兆円のマイナス影響。もし関税負担がなければ、営業利益は実質5兆円超の水準だった計算になる。

