トランプ政権における自動車関税の経緯
2025年4月、トランプ政権の掲げる「アメリカファースト」の根幹にある、自国の産業の保護、アメリカの国益の確保を目的として、突如各国に大規模な追加関税を課すことを発表した。
従来日本からアメリカへの輸出される自動車への関税は2.5%であったが、これに追加関税の25%が加わり27.5%となることが決まった。
その後、EU諸国や中国は報復関税をアメリカに課し、さらにアメリカが報復と報復に次ぐ報復関税で徐々に泥沼化していく。
しかし2025年4月9日、突如トランプは90日間の交渉猶予を作り、その間各国の追加関税は一律10%となる。
それから日本は赤沢亮正経済再生担当大臣が8回のアメリカとの協議を重ね、2025年7月25日に大枠として相互関税15%+5500億ドルのアメリカへの投資という話で合意する。
ただし、5500億ドルの中身など、具体的には何も決まっていないと市場は捉えている。
なぜ相互関税と呼ばれるのか?
日本はアメリカへの輸出の自動車関税は15%なのにも関わらず、アメリカから日本への輸入自動車には関税をかけていない。
つまり、相互関税という言葉は間違っている。が、トランプは実質的には相互関税と考えている。
車の構造上(排ガス規制や右ハンドルなど)の規制や安全基準の高さ、並行輸入規制など販売には様々な障壁があり実質的には販売が難しいので、実質的関税=非関税障壁であると主張している。
日本がアメリカの自動車の関税を0にしている理由
1978年に乗用車の輸入関税を完全撤廃して以来、日本はアメリカに限らず、全ての国からの輸入自動車への関税を0にしている。
そもそも、日本車は人気があり、アメリカ車のシェアは1%程度で関税を課してもあまり意味がないこと、日本は自由貿易を支持してきたこと、WTOルール整備を重視してきたため。
WTOとは?
World Trade Organizationの略でスイスのジュネーブに本部がある世界貿易機関のこと。
世界の貿易ルールを定め、そのルールを守らせるための国際機関。
主な役割としては、加盟国同士ががスムーズに貿易のできるようルールを整え、それを監視する。
もし加盟国同士の貿易において、不当な関税や輸入制限などのトラブルが起きた場合、中立の立場で解決を目指す→紛争解決制度(DS制度)。
ただし、紛争解決に時間がかかるなどの問題点もあります。

