商号:株式会社技術承継機構
どんな会社か?
技術承継機構は、中小製造業を買収してグループ化する会社。
創業者は元みずほ証券・元産業革新機構出身の新居英一氏。
日本には隠れた優良な製造業が数十万社あるが、後継者がいなく、廃業寸前の会社が無数にある。
2023年には、廃業した中規模企業のうち半数以上は当期純利益が黒字。
技術承継機構は、そういった会社を買収し、
- 社名は残す
- 工場も残す
- 従業員も残す
- オーナーだけ交代
という形でグループ化している。
会社のホームページには、
◼️永続保有
譲受した会社の再譲渡は行いません。優れた技術を未来に繋ぐため、長期的な目線で経営し、企業の成長を永続的に支援していきます。
◼️個社の尊重
会社名やブランドを存続し、雇用を維持します。譲受企業の望まないブランド変更や会社合併、リストラは行わない方針です。
◼️バリューアップ
後継者問題の解決に留まらず、営業、製造、人事、DX、経営管理など、譲受企業の抱える経営課題の解決に取り組みます。
とある。
ファンドと違い、M&Aした企業を売却せず、また、グループ内でシナジーを効かせる。
どういった会社を買収しているか?
買収対象は、ほぼ製造業。
- 精密加工
- 金属加工
- 産業機械
- 部品メーカー
- 工業製品メーカー
などを中心に買収。
買収した会社
| 豊島製作所 MS事業部 | 薄膜材料の開発・製造 | 超伝導・電池・研究機関 |
| 豊島製作所 PT事業部 | 冷間鍛造加工及びプレス加工 | 自動車 |
| 豊島製作所 タイ法人 | 冷間鍛造加工及びプレス加工 | スピーカー・発電機 |
| 東洋マーク | 樹脂プリント及び樹脂加工 | アートワーク・交通・住宅 |
| FAシンカテクノロジー | 自動んだ付装置等の開発製造 | FA機器・通信 |
| エムエスシー製造 | シート材・コイル材切断機の製造・販売 | プレス機械等各種装置 |
| 篠原製作所 | 高機能フィルム・金属箔・紙等の加工機・巻取機の設計・製造 | 光学フィルム・セパレーターフィルム |
| 京和精工 | 各種産業機器・機械の切削加工 | 産業機器 |
| キンポーメルテック | 精密板金加工、金属箔加工 | 工作機器・電車車両等 |
| エアロクラフトジャパン | CFRP製品・金属製品の設計・製造 | レーシング(二輪・四輪)等 |
| 天鳥 | 各種産業機器・機械の切削加工 | 電気電子・半導体 |
| ティオック | 工事用保安機器製造 | 工事施工業者 |
| ミヤサカ工業 | 金属研削加工及び自社開発製品の製造販売 | 産業機器・防災・福祉 |
| サンテック産業 | 焼鈍、ショットブラスト、金属表面潤滑処理 | 自動車・自転車 |
| 神田鉄工所 | 各種産業機器・機械の切削加工 | 鉄道・半導体・産業機器 |
| アルファーシステム | 電源機器の設計・製造・販売 | 鉄道 |
| 山泰鋳工所・製作所 | 鋳造・機械加工 | 産業機器 |
| 多賀製作所 | 自動車用ブレーキ及びEV部品へ使われる自動車EV金属ばね製造 | 自動車・EV |
| アドバンス | フォークリフトの中古販売、買取、輸出、製造業全般レンタル、メンテナンス | 製造業全般 |
| 堀越精機 | 各種産業機器・機械の切削加工 | 産業機器・半導体 |
| 大崎電業社 | 電磁クラッチ・ブレーキ、スリップリングの製造 | 産業機器 |
業績
決算期
12月
売上・営業利益・経常利益
| 売上 | 営業利益 | 経常利益 | |
| 2025年12月 | 149億円 | 14億円 | 14億円 |
| 2024年12月 | 110億円 | 15億円 | 15億円 |
| 2023年12月 | 93億円 | 8億円 | 9億円 |
| 2022年12月 | 68億円 | 4億円 | 5億円 |
技術承継機構のリスク
技術承継機構の日足チャートを見ると、2025年4月7日の高値3690円と2025年4月8日の安値3815が窓になっている。
IPO初期段階の窓で、これを埋めることは、2026年の6月現在、ここから70%ダウンなのでこの会社の業態からすると、考えにくい。
あるとすれば、
- 高値掴みの買収
- 買収会社のきなみ赤字
- 不正会計
- PMI失敗
- のれん減損
- 増資乱発
- 経営陣への信頼喪失
など。
この会社の最大のリスクはバリュエーションリスクと見てる。
技術承継機構の場合、市場は現在「単なる町工場の集合体」ではなく、「今後10年で何十社も買収して利益を複利成長させる会社」として見ている。
つまり現在の株価には未来の成長期待がかなり織り込まれている状態。
「高成長企業」
ではなく
「普通の製造業持株会社」
として評価し始めます。
その瞬間にPERは大きく縮みます。
日本M&Aセンターホールディングスの例
似たような業態で、あり得るリスクとしては、「日本M&Aセンターホールディングス」の暴落。
日本M&Aセンターの株価が大きく下がった原因は、「高すぎた評価の修正」。
もともと後継者不足や事業承継ブームを背景に、M&A市場は長期的な成長が期待されていた。そのため日本M&Aセンターは一時PER90倍近くまで買われ、「ずっと高成長が続く会社」という前提で評価されていた。
ところが成約件数や利益成長が徐々に鈍化し始める。さらに2021年には売上の前倒し計上問題が発覚し、会社への信頼も失墜。
結果として、利益が減ったから株価が下がったのではなく、PER90倍でも買われていた会社が、PER20倍程度の普通の会社として評価されるようになった。
事業承継需要そのものは今も存在しているので、ビジネスモデルが崩壊したわけではなく、永遠に高成長すると信じられていたストーリーが崩れたことで、株価は大きく修正された。
結論、技術承継機構は、すごくいい会社だが、半導体に関わる製造の部分などが加味されすぎて、すでに高い値段がつきすぎている。
